ムジナはアナグマやタヌキなどを指す言葉で、アナグマが掘った同じ穴をタヌキなども使うことから同じ穴のムジナという、違うように見えて同じ仲間、裏でつながっている、ということわざがあります。中国から舶来する筆もムジナとよばれる筆でも細かく分けると“石貛(せっかん)”はカニクイマングース、“鼬貛”はイタチアナグマ、“狗貛”はアナグマ、“果子狸”はハクビシン、“狸”はタヌキなど多種に及びます。本物の石貛の毛は石貛針毛とよばれ腰が強力で毛先の鋒が長く鋭利でまとまりがよく、毛表面の含墨量が多くしかも均一に吐墨する性能があり多種の効果を生み出すことが可能です。さすが蟹を食っているマングース様です。一方、同じ毛のように見えるアナグマなどは、価格が安い反面、毛質が粗く、穂先の鋒がなくまとまりが弱く、石貛針毛のような効果は得られないそうですが、市場には石貛筆として流通するので注意が必要で、石貛と同じ穴のムジナとはいいかないようです。ムジナ系の筆で、日本で通称オロンピーとかパーミーとよばれる筆はどんな動物の毛とおもいきやイタチアナグマという、名前を聞いただけではイタチなのかアナグマなのかはっきりしない動物のようです。いづれの小動物の原毛も現在は入手が困難で価格が高騰しています。